高エネルギー加速器研究機構様
【業種】研究機構
【研究内容】高エネルギー加速器を用いた実験的研究や、理論的研究の推進
【創業】昭和29年
【従業員数】約1100名
◾︎課題
・25年前の監視用パソコンが老朽化し、温度監視などに支障が出始めた。
・PCの不具合が加速器全体の停止につながる重大リスクとなっていた。
・他の業者では修理が困難・不可と断られ、打つ手が限られていた。
◾︎導入
・紹介により日本ピーシーエキスパートに相談。
・修理だけでなく「延命策+今後の備え」の提案を受けた。
・選択肢を提示され、コスト・リスクを踏まえた判断が可能だった。
◾︎結果
・重要機器の停止を回避し、研究継続に貢献できた。
・組織内で“装置の予備と保守”への意識が高まった。
・単なるPC修理でなく、装置と現場全体の価値を守る対応に満足。
最先端の科学技術を駆使し、宇宙や物質の根源を探求する「高エネルギー加速器研究機構(KEK)」。その使命を果たすためには、加速器装置の安定稼働が欠かせない。だが、その根幹を支える装置の一部に、25年以上稼働し続けた“古参”のパソコンがあった。
その老朽化に伴い、研究機関の活動継続が危機に瀕した──。
今回は、KEKが日本ピーシーエキスパートに延命修理を依頼した背景と、その対応への評価について詳しく話を伺った。
目次
・ 研究現場を支える装置とそのリスク
・25年選手のPCの異変と危機感
・日本ピーシーエキスパートとの出会いと信頼の構築
・動かし続けるという選択
研究現場を支える装置とそのリスク
◾︎高エネルギー加速器研究機構の使命とは
KEKでは、陽電子や電子を超高速で加速・衝突させることで、宇宙や物質の成り立ちを探る基礎科学研究を行っている。衝突実験によって得られるデータは、宇宙の起源、生命の根源に迫る手がかりとなる。
「私たちの装置は、直径4kmにも及ぶ加速器で構成されています。加速された粒子が衝突する際に生じる膨大なデータを解析することで、物質の構造や宇宙の謎を紐解いていくのです」
その最先端の研究を支えていたのが、1999年製の監視用パソコンだった。
25年選手のPCの異変と危機感
◾︎トラブルの発端──25年稼働し続けた監視用PCの異常
今回問題となったのは、冷却水の温度をモニタリングするためのパソコンだった。加速器の稼働時には膨大な熱が発生するため、わずか0.5℃の温度変化でも影響は甚大だという。
「冷却装置の温度監視ができなくなると、加速器の運転がストップしてしまう。実験が中断すれば、国内外から集まった研究者の時間と予算がすべて無駄になる可能性がありました」
25年間、ほぼ無停止で稼働していたこのPCは、ついにデータ遅延や出力異常といった不具合を起こし、対応が急務となった。
◾︎パソコン1台がもたらす、施設全体への影響
対象となったパソコンは、専用の制御基盤やセンサー機器と接続され、装置全体の心臓部ともいえる役割を担っていた。異常が起きた際、即座に代替できる仕組みはなかった。
「これが動かなければ加速器は止まり、加速器が止まれば我々の存在意義さえ揺らぎます。パソコン1台ですが、その価値は何十億円分の研究費にも匹敵するんです」
実際、停止すれば50億円以上の研究予算や実験計画に影響が出る可能性もあったという。
日本ピーシーエキスパートとの出会いと信頼の構築
◾︎他社では断られた修理、決め手となった提案内容
複数の業者に修理を依頼したが、いずれも「責任は持てない」「部品がない」といった理由で断られた。そんな中、紹介により日本ピーシーエキスパートに相談したという。
「御社だけが『可能性はあります』と前向きに取り組んでくれた。しかも、その場しのぎではなく“次の段階”まで提案してくれたのが印象的でした」
修理方針には複数の選択肢が提示され、リスクとコストのバランスを自ら選べる点にも信頼を寄せた。
◾︎延命対応を経て、同機構内では運用に対する意識も変化したという。
「正直、古いパソコンは“もう無理だ”と諦めていました。今回の経験で、諦める前に専門家に相談することで未来が開けると実感しました」
さらには、次に備える予備機の準備や運用体制の強化にも取り組むようになった。延命修理が単なる“延命”で終わらず、組織としての“備え”を生むきっかけになったのだ。
動かし続けるという選択
◾︎延命対応の本質──「PC修理」ではなく「装置を守る」こと
「単なるパソコンの修理ではなく、“装置を稼働させ続ける”という目的を共有してくれたのが大きい」と語る担当者。その対応力と先を見据えた提案に、高い評価が寄せられた。
「点数で言えば100点以上。終わりではなく“次”を考えた対応力、あれがなければ再発のリスクも読めなかった」
修理=終わりではなく、装置の命をつなぐための「スタート」だという考え方に、深く共感していただけた。
◾︎日本のものづくりを支える存在として
「私たちのように、古くても大切な装置を持つ現場は日本中にあるはず。諦めずに相談できる相手がいることで、装置も現場も延命できる」
KEKのような世界最先端の研究機関でも、延命対応は極めて重要な経営判断のひとつとなっている。
最後にこんなメッセージをいただいた。
「大企業が手を出さない領域でも、御社のような専門性のある会社が存在することで、日本の研究も、ものづくりも支えられていると思います。今後もぜひ、この活動を続けてほしいですね」